安価なHDDをM.2 NVMe SSDと組み合わせて高速に使える自作PC

安価なHDDをM.2 NVMe SSDと組み合わせて高速に使える自作PC

動画編集などの仕事に使えるように、NVIDIAのグラフィックボードを搭載させて快適に作業ができるPCを自作することにした。

ただ単に、高性能グラフィックボードを搭載したPCを組み上げるだけでは面白くないので、大量なデータを保存することが可能で低価格なHDDと、高速だが高価格なSSDを組み合わせて、低価格で大容量で高速な夢のドライブを実現させてみたいと思う。


構成概要

下記のような機器を使って組み立てることにした。
CPU:AMD Ryzen 5 1600 (AF)
GPU:NVIDIA GeForce RTX 2070 Super
HDD:Seagate BarraCuda 2048GB (7,200rpm)
SSD:Silicon Power PCIe3.0×4 M.2 2280 256GB


FuzeDrive

2048GBの大容量HDD、256GBの高速SSDの価格は、機器購入時点でどちらも¥6,500-程度であった。256GBのSSDではデータ保存容量がすぐに不足しそうだが、2048GBのHDDでは日々の作業効率が悪くなってしまうというジレンマだ。

このジレンマを解消してくれるソフトウェアがEnmotus社の「FuzeDrive」だった。

簡単に実現までの手順を説明すると、
①HDDとSSDの両方が動作するように自作PCを組み上げる。
②HDDを切り離し、SSDにOS(Windows10)をセットアップする。
③HDDを接続し、FuzeDeiveをセットアップする。
のような流れで夢のドライブが完成する。

ただし、一点大きな注意点がある。それは、従来のBIOSモードでOSのセットアップする必要があるということだ。UEFIモードでOS(Windows10)をセットアップしてしまうと、FuzeDriveをインストールした後でOS(Windows10)が起動しなくなる。

なので、OS(Windows10)をセットアップする前に、BIOS設定を変更しておく必要がある。また、FuzeDriveの動作を妨げるような、ディスクに直接何らかの変更を行うようなソフトウェアの稼働にも注意が必要だ。


効果測定

無事にFuzeDriveのセットアップが完了し、低価格で大容量で高速なドライブを有するPCが完成した。

さっそく速度を計測してみると、

FuzeDriveセットアップ前のHDD単体の速度
FuzeDriveセットアップ前のSSD単体の速度


FuzeDriveセットアップ後のSSD+HDDの速度


SSD単体時よりも高速になっているのが分かる。
特に、実際のPC利用シーンで体感への影響が大きいと言われるランダムアクセスにおいての高速化が凄い!

高速化においては、SSDを2台使ったRAID0(ストライピング)構成なども考えられるが、シーケンシャルアクセスへの効果はあっても、ランダムアクセスへの効果は薄い。


追加検証と課題

こうやって非常にコスパの良いドライブを手に入れた訳だが、色々と検証を行ってみた結果、企業や在宅ワークでの利用には課題も多い。

まずは、PCの可用性の問題である。
SSDとHDDの2台のディスクがペアになって1台の夢のディスクを実現させているため、そのどちらかが故障しても動作しなくなる。つまり、故障リスクも2倍となってしまう。データのバックアップや、故障時に直ぐに利用可能な代替PCの準備は必須であろう。

また、UEFIモードを使用できないことによる情報セキュリティ対策への問題もある。Windows10のBitLockerによるディスク暗号化も利用できないため、盗難などへの防御は手薄になる。



IPAの「中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン」や、経済産業省の「サイバーセキュリティ経営ガイドライン 」など政府が企業に求める情報セキュリティ対策としては不十分と判断される可能性が高い。

企業内で利用するPCとして、このような自作PCを採用するケースは無いと思うが、コロナ禍における緊急のテレワーク端末や、働き方改革を推進していくにあたって実施される在宅ワーク用の端末として利用を許可する際には、顧客情報や営業秘密など重要な情報については保存せず、それ以外の動画編集やデザインなどの重めの作業を実施したり、データのダウンロードが防止されているリモートアクセスシステムのクライアントとして利用するなど運用上のルール決めをしておくことが肝要だ。


ー 2020.6.10追記 ー
FuzeDriveのアップデートにより、UEFIモードが利用可能となりBitLockerによるディスク暗号化が可能になった。さっそく暗号化を実施してみたところ、

BitLocker暗号化後のFuzeDrive SSD+HDDの速度

BitLockerで暗号化する前と比べて速度は低下したが、万一のデータ保護を考えるとPCをビジネス用途にも利用する場合は実施しておくべきだろう。